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ある水曜日の過ごし方

昨今、アニメでは『じょしらく』に『昭和元禄落語心中』、音楽でも米津玄師の『死神』と、落語モチーフの作品をちらほらと見受けるようになりました。

日本の伝統が、教養として形を変えて今もなお伝わっているというのは嬉しいものです。

 

教養といえば、かの松下幸之助は週休2日制導入にあたり「1日休養・1日教養」にしたといいます。

弊社代表の井手がそれを受け、1日修養として週休3日制を導入いたしました。

4日間で5日分の仕事をこなさないとならないので、勤務中は目が回るほど忙しいのですが、明日がお休みだと自分に渇を入れ業務に集中します。そして、いざやってきた水曜日。

 

…やることが無い。休むべきだとはわかっていてもじゃあ何をするかと言われると何も思いつかない。

修養として心を鍛えるべしといわれても何をするかと考え…

 どうせならこれまで行ったことが無い場所に行ってみようと、木戸をくぐることにしました。

 

ドンドンドン♪の心地いいリズムで叩かれている寄太鼓。340人ほどが入れる会場にいることがきちんとわかる程度の人の数。

心躍らせながら見たそれは、静かながら確かな臨場感に包まれていました。

鶴の恩返しに現代のマーケティング理論を詰め込んだ噺家さんがいました。

 

明治時代の太鼓持ちのお噺をしてくれる方もいました。

 

また、落語だけでなく紙切りの芸人さんもいらして、鬼滅の刃で一枚切っていただきました。

よく依頼されるお題らしく、BGMも三味線アレンジの「紅蓮華」でした。

 

これまで私は寄席というものを静かで厳か、だけど笑いが絶えない場所だと勝手に思っていました。しかし、その日私が目にしたのは、私たちと同じ日常を過ごし、伝統を引き継ぎながら、進化を続ける人達でした。

 

修養で何をすべきか。まだ答えは出ていません。

 

ただ、“初体験”をまたどこかでやってみよう。そう思えた水曜日でした。